社会の先生をめざす人の思想史

社会科の先生をめざす、元サラリーマン。日々の気づき・学びをしたためます。

人生やりなおしたい…とせっかく思えたから、めちゃくちゃ頑張ることにする。

今までの積み重ねで、今の自分があるんだし。

という考えで、これまでは自分の人生に対して、後悔をしたり、やり直したいと思っていなかった。

 

しかしそれは、本当に自分が好きなもの、なりたいもの、目指したいことに、本気で挑んでいなかったからかもしれない。

いま、30歳にして高校の地歴公民・中学社会(専門としては高校の倫理や政治経済などを希望している)の免許取得のため、サラリーマンを辞めて勉強に専念する生活を送っている。いや大学で免許とっておけよ…と他人から言われたこともあるし、実際そう思う人も多いんだろうけど、ぶっちゃけ私自身は今さっきまで、後悔はひとつもしていなかった。「まぁサラリーマンやらなければ、たぶん先生になろうなんて思わなかっただろうし」と思っていた。

 

私はもともと、哲学が大好きである。哲学者の考えを知ることは本当に面白い。そして、世界にたったひとつの正解なんてないこと、自分がこの世界をどう読み解くかは誰しもに与えられた自由であることを思うと、「哲学」という学問の奥深さと自由さに心がウキウキする。

しかし、高校時代は「哲学系の学部に進もうかと思う」とまわりに伝えたとき「哲学…就職しにくいんじゃない?」と言われたことをきっかけに考え直し、私の興味関心と近しい「社会学」の学部がある大学に進学した。その大学では、文系と理系を分けない文理融合をテーマに掲げており、私はあまり興味がなかった化学の授業なども必修として組み込まれていた。そんな授業ばかりを受けていると、学問の面白さを感じる機会が少なく、「私はなんのために大学に来たんだっけ」と思う日々。また、そのころ始めたアルバイトの店長さんは中卒だという話を耳にして「中卒でもふつうに正社員として働けてる。本当になんのために大学で勉強するんだろう?」と思ってしまった。そこから、あまり熱心に勉強しなくなった。アルバイトや部活、友達との飲み会にあけくれる。

大学時代で、学問の面白さに目覚めたのは4年生になって卒業論文を書くときだった。様々な学者たちの著書を読み、自分の糧としながら自分自身の問に答えを出していく営みは、とても面白かった。「学問って面白いじゃん」という気持ちが、ここで芽生える。(しかしすぐ卒業)

そんな学生生活を経て、ふつうの就活を行い、一般企業に就職し、サラリーマンになった。とくに勉強することもなく、漫画を読んだり、飲みに行ったりする日々。仕事はまったく面白くなかった。なぜこんなことをしなければ生きられないのか?と悩んだ。べつにいつ死んだっていいやとさえ思うようになった。「生きるために働いているのに、生きるための手段で死にたくなるなんて、本末転倒じゃん…人生ってなんて面白くないんだろう」そんなふうに考えていた。

社会人3~4年目のとき、本屋さんで『読まずに死ねない哲学名著50冊』という本に出合う。これが私の「哲学」の面白さを思い出すキッカケになる。そこから哲学にまつわる様々な本を読みながら、「哲学が人生で好きなものと言えそう。これを一生勉強したい」と思うようになる。1年ほどたったあと、友達と「もっかい人生やり直せるなら、何する?」という会話をする。「高校の社会の先生かなぁ。倫理を教えたい。好きなことを学び続けられて、学問の面白さを若者に伝えていける職業…最高じゃん」といった話をしたあと、「今からでもやればよくない?」と本気で考えるようになった。それがきっかけで、仕事と並行しながら教員免許取得のための通信大学に通い始める。2年経過するものの、なかなか単位取得が進まない。そこでようやく会社の退職を決意。順調にすすめば早くて再来年に、採用が決まりさえすれば教員になれる算段が整う。

 

そして今日。「教員免許が取れたら、どこの学校に就職しようか」と、就職について考えはじめる。調べれば、教員採用の人材センターなどがいろいろあるようである(私は、私立学校に就職したいと考えている)。さっそく登録しようと思い、自己PRを書くときに「自分のメリットでなく、学校や生徒のメリットを伝えないとな。自分自身の”教員になりたい個人的な理由”はさておいて、生徒にどういうことを伝えたいと思っているんだろう?」と考えてみる。「学問の楽しさを伝えたい」など、いろいろそれっぽい言葉はたくさん出てくるものの、自分が若者たちに本当に伝えてあげたい素朴な気持ちは「就職のためとかじゃなくって、好きなことを勉強するために、大学に行っていいんだよ」ということだな、と思った。「好きなことを勉強した経験は、きっと人生の糧になるから」と伝えてあげたいな、と。

そのとき、この30年の人生で初めて「もう一度16歳ぐらいからやり直せたらな」と思った。いま「就職とかキャリアとか、そういうことを気にせず、もっと好きなことを真正面から学んでおけばよかった」とつよく後悔している。実際就職するとき、社会学部だろうが哲学科だろうが、そこまで関係ないのではないだろうか。結局、「その人がどんな人か、うちの会社に合いそうか、合わなさそうか」その観点が一番採用には大きくかかわるのではないだろうか(人事をやったことがないので断定はできないが)。

…と、ここまで自分の経歴と後悔について語ってきた。そして、その後悔は「大学から好きな学部に行っておけば、もっと若いうちからいろんな哲学者のことを知る機会や、知的好奇心も刺激される機会が多く、もっといろんなことを今より早く知れてたし、勉強できてたんじゃないかなぁ」というものだろうと思った。

 

とはいえ、そう思えたのも、これまでの人生、つまり一番興味がある学部を選ばなかったこと、大学以降あまり勉強してこなかったこと、があってのことである。

よくいう話ではあるが、今日が人生で一番若い日。今日から、後悔を活かして死ぬ気で勉強しようと思う。

「会社を辞めてから、就職するまでの1年半、人生で一番勉強した期間だったよ」将来、そういえるように。30歳、新しいスタート頑張ります。

 

 

٩( ᐛ )و<ファイッ!アラサーファイ